真言宗泉涌寺派大本山 法楽寺

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‡ 『正法律興復大和上光尊者伝』

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1.原文

年五十四。尊者嵓棲澗飲。殆将十載。深壑不能久蘊光彩。京師四輩競来而請。其言切。其意深。尊者勉強応之。諸居士捐貲。得阿弥陀寺于西京。延尊者居焉。居亡何。問道之徒。麇至蝟集。搢紳鉅族。貴戚妃嬪。亦稽首恭敬。咨決心要。其職務鞅掌。宮門深邃者。尚有献香呈書。楽結法縁。

尊者応機説法。譬如一雨所施。大小草木各獲霑潤。嘗因貴人請説十善法。諸弟子録為十二巻。名曰十善法語。然其説宏特。不止十善。大小験実。真俗二諦。開闡無餘蘊矣。尊者毎言。知我罪我者。夫十善法語歟。

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2.読み下し

年五十四。尊者嵓棲[がんせい]*1 澗飲[かんいん]*2 。殆ど将に十載ならんとす。深壑[しんがく]*3 久く光彩を蘊[あつ]むこと能わず。京師*4 四輩[しはい]*5 競って来って請す。其の言切に、其の意深し。尊者勉強して之に応ず。諸居士*6 貲[たから]を捐[す]て、阿弥陀寺を西の京に得。尊者を延[のべ]て居しむ。居ること何[いず]くも亡[なく]して、道を問うの徒、麇如至り蝟如集る。搢紳鉅族[しんしん・きょぞく]、貴戚妃嬪[きい・きひん]、亦稽首恭敬[けいしゅくぎょう]*7 して、心要*8 咨決[しけつ]*9 す。其の職務鞅掌[おうしょう]*10 宮門深邃[しんすい]*11 なる者も、尚香を献じ書を呈し、法縁を結ばんと楽[ねが]う有り。

尊者*12 に応じて法を説く。譬えば一雨の施す所、大小草木[そうもく]各[おのおの]霑潤[てんじゅん]*13 を獲るが如し。嘗[かつ]て貴人の請[しょう]に因[ちな]んで十善法*14 を説く。諸の弟子録[ろく]して十二巻と為。名て十善法語[じゅうぜんほうご]と曰う。然れども其の説宏特[こうとく]。止[ただ]十善のみならず、大小権実[だいしょう・ごんじつ]*15 真俗二諦[しんぞくにたい]*16 開闡[かいせん]*17 して余蘊[ようん]無し。尊者毎[ごと]に言う、我を知り我を罪する者は、夫れ十善法語[じゅうぜんほうご]かと。

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3.現代語訳

尊者齢54のことである。尊者の山奥に住んでのきわめて質素な日々を送ることは、ほとんど十年間に及ぼうかとしていた。深壑[しんがく]にあっては久しく光彩を集めることは出来ない。(しかしながら)京都に住む僧俗ともに競って尊者のもとに来訪し、その教えを請うたのだった。彼らの言葉は熱心なものであり、その決心たるや深いものであった。尊者は精力的にそんな彼らに応えたのである。

やがて多くの居士[こじ]達は、共に私財を投じて、阿弥陀寺という寺院を(尊者のため)京都に確保したのだった。そして尊者を(大阪は高井田の山奥から)招き、住まって頂いたのである。そこに住みだしてから息つく暇もなく、道を求める者が(尊者の教えをもとめて)結集して集ってきた。その中には権力者や高貴な身分の人々もあり、彼らもまた(尊者に対して)深く信仰の念を起こして敬い、仏の教えの要訣について教えを求めたのであった。また、要職にあって私の時間を恣に出来ぬほどの者や、宮家・公家など高貴な家柄の者にも、尊者に香を献じ書を差し上げて、その教えに触れ近づきたいと願う者があったのである。

尊者は(教えを請いに来た)人々の立場や能力やそれぞれ教えが説かれるにふさわしい時機にあわせて説法なされた。(尊者の説法を)譬えるならば、空から降る雨によって、その大小を問わず平等に草木それぞれが恵みの水を得るようなものである。以前、(尊者は)高貴な人の請いによって十善の法を説いたことがあった。それを諸々の弟子達が記録したものが十二巻もの分量になっていた。そしてそれを名づけて『十善法語』としたのである。書名は『十善法語』と名づけられてはいるものの、そこで尊者が説かれていることは幅広く多岐に渡っている。ただ十善についてだけではなく、大小権実[だいしょうごんじつ]・真俗二諦[しんぞくにたい]を開闡[かいせん]してあますところが無いものであった。尊者はたびたび言われたものである。「我を知り我を罪する者は、それ十善法語か」と。

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4.語注

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